【ブログ】私の青春とともにあった「フロントミッション2」リメイクに際しての感慨 | 織田博子(オダヒロコ) 作品集 oda Hiroko portfolios

【ブログ】私の青春とともにあった「フロントミッション2」リメイクに際しての感慨

Switchで怒涛の過去作発売&発表に伴い、私の愛するゲーム「フロントミッション2」もリメイクが決定しました。

四半世紀経ってはじめてのリメイク。こんな嬉しいニュースがあるんでしょうか…本当にありがとう…

ということで、思いが爆発したので、私の青春と共にあったフロントミッション2についてイラストと文章で語ります。

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地味すぎるオープニング

インド映画でよく「工場の換気扇がまわり、光が差し込む」というシーンを見かける。

地味だがとても美しく、また埃っぽい南アジアの雰囲気をよく表す絵。

私の好きなゲーム「フロントミッション2」(スクウェア・エニックス)のオープニングはこの換気扇のシーンから始まる。
オープニング映像は、そのゲームの世界観を如実に表すと同時に
ファンタジーの非現実の世界に誘う壮大な装置であると思う。

なのにこの地味なオープニング。
白と黒が交互に写り、カメラが下がっていくに従って工場の換気扇であることがわかる。
二足歩行の戦闘機、ヴァンドルク•パンツァー(ヴァンツァー)の工場。

かつて繊維業で栄え、温暖な気候から米の三毛作を行い、多くの詩人を生み出した、黄金の川が流れて輝く豊かな国。
O.C.U.(オシアナ共同連合=アジアの経済共同体・連合国家)によって搾取され、戦闘機の工場が建てられ、大気汚染によって黄金の輝きを失った荒れ果てた国になってしまった。

ヴァンツァー

高揚感とは無縁の淡々としたオープニングを見て、当時中学2年生だった私は、この陰鬱な世界観にのめり込んでいった。

特に好きだったのはインターネット黎明期を感じさせる「ネットワーク」のコマンドで、フォーラムにアクセスし、この説明の足りなすぎる世界への理解をおぎなうこと。

突然のクーデター、その後ろに垣間見える大国の思惑、逃亡先の情報、道すがら会う傭兵(脱走兵)の経歴…そんなものを延々と読みながら、何が起こっているのかを考えるのが楽しかった。

ハティヤ島の美しい朝

孤独に2年間プレイしたゲーム

セブンイレブンのデジキューブ(1997年頃、コンビニでPSソフトが買えるサービスがあった。予約特典の攻略本が魅力的)でフロントミッション2を購入したものの、
当時 ファイナルファンタジー7(1997/1/31発売)が世間に与えた衝撃は凄まじく、同年発売のフロントミッション2をやっている同級生は一人もいなかった

そしてそのローディングや戦闘時間の長さから、ゲーム仲間の兄弟も誰も見向きもしなくなった。
進めては詰み(敵が強すぎて倒せなくなって進めなくなること)、やり直しては詰みを繰り返し2年間孤独にプレイしていた14歳。

青春の2年間を注いだこのゲームによって、「世界で一番ベンガル人が好き」という好みも形成されたのでした。

チャイを飲むロッキーとロシュマロイを食べるアッシュ

世界で私しかフロントミッション2をやってないんじゃないかなと思い続けた25年間


その後ふしぎなめぐりあわせでマンガ家デビューし、著作「世界家庭料理の旅」にてアロルデシュ(バングラデシュのゲーム内での名前)での2年間の思い出を描いたところ

バングラデシュに行こうと思ったきっかけ

「中学時代のゲームの好みが渋すぎてのけぞった」
「ゲームは知らなかったけど、そんなに人生に影響を与えた作品とバングラデシュに興味を持った」
「当時やっていた。ミサイルが当たらなすぎてイライラした」

という反応をもらい、超個人的な思い出が人々の心を動かした事や、実際にプレイした人に巡り合ったりして、当時の孤独な自分が癒されていくのを感じた

そして今回のリメイクの発表。生きててよかった。

リメイク版へ思うこと

あのオープニングは、湿ったジャングルの空気は、八方塞がりなあの国の未来は、当時あのカクカクの映像から私が感じ取ったあの埃っぽさは、リメイクでは残っているのかな。
97年、暗いニュースで覆われた日本の空気をそのまま表したような世界は、コロナ禍の2022年にはどんな風に描かれるんだろうか。

そんなことを思いました。